こんにちは、バーチャルハンドメイドショップirokazari+のpekopokoです。
私はハンドメイドアクセサリーの作家であり、
メタバース上にバーチャルショップを構えて運営しています。
昨今、生成AIの進化は目覚ましく、私たちのビジネスシーンにも急速に浸透しています。
しかし、一つの大きな懸念を抱いています。
それは、SNSなどで流れてくる生成AIで作られた広告や商品紹介。
「何が本物で、何がAI生成なのかがわからない状態」が広がり始めてきています。
結果としてお店やイベントの信頼基盤を揺るがしかねないということです。
バーチャルショップでリアルな作品を扱う私にとって、これは他人事ではありません。
お客様がバーチャル空間で作品を見て「実物もこれと同じ品質なのか」と信頼して来場・購入してくださる。その信頼の土台が、AI画像の乱用によって業界全体で崩れていく可能性を感じています。
今回は、生成AI利用における「本物がわからなくなる社会」のリスクと、私たちが守るべき一線について論じます。
1. 「何がAI生成かわからない」がもたらす不信感
現在、多くの企業や個人が生成AIを導入し始めています。
しかし、どこまでをAIで生成し、何を実物として示すべきかという明確な基準が人によってバラバラです。

その結果、実際の商品画像、実際の店舗の画像、実際の料理写真までもが、AIで生成された「理想のイメージ」のまま掲載されるケースが散見されるようになってきました。
AIは、実物以上に美しく、または脚色された画像を瞬時に作り出します。
しかし、消費者がそれを「実物の写真」だと誤認して購入や来店を決めた場合、そこには深刻な乖離が生じます。
それはすぐさまクレームになり、会社の信頼を大きく損ねることにつながります。この状態が常態化することは、ビジネスにおける誠実さの欠如を意味します。
2. 観光・店舗紹介における「美化」の罠
最近インスタグラムを開くと、観光地の風景や飲食店の店内写真、料理写真までもAIを使って生成してしまっている店舗、イベント開催のアカウントを見かけます。
これは長年生成AIに触れてきた人からすれば「ああ、AIを触れ始めたばかりの人がやっているな」と一瞬で見抜かれてしまいます。
偽物感が強いのです。これはプロンプト(AIへの指示)が単純によくない、元画像を活用していないのが原因だったりします。
逆にプロンプトが完璧で美しい物が作れたとしても——
極端に美化された風景写真を見て現地を訪れた観光客が、実際の景色との差に落胆する。
AIで作られた豪華な料理写真を見て注文した客が、運
ばれてきた実物を見て「騙された」と感じる。
こうした体験が積み重なれば、その店舗や地域だけでなく、業界全体への不信感へとつながります。
どちらにしても信頼性を損ねる結果になります。
3. 信頼は積み上げるのに時間がかかり、失うのは一瞬

ビジネスにおいて最も重要な資産は「信頼」です。
一度でも「この写真、実はAIじゃないの?」と疑念を持たれた時点で、
そのブランドの信頼は大きく揺らぎます。
仮に実物が素晴らしいものであったとしても、一度疑いの目が向けられれば、消費者は「これも加工ではないか」「本当に本物なのか」と常に疑いながら商品を見るようになります。
信頼を築き上げるには数年、数十年の歳月が必要ですが、それを失うのは、たった一枚の不適切なAI画像による一瞬の出来事なのです。
4. デザイン業界への影響と「設計」の重要性

生成AIの普及により、POPや広告、画像制作のハードルは劇的に下がりました。
デザインの専門知識がなくても、プロ並みのビジュアルを誰でも作れる時代です。
しかし、ここで勘違いしてはならないのは、「作れること」と「伝わること」は別問題であるということです。
AIは指示通りの画像を出力してくれますが、「誰に、何を伝え、どのような感情を生み出したいのか」という根本的な設計までは肩代わりしてくれません。
ターゲットの悩み、商品の背景にあるストーリー、受け取った時の感動。
これらを緻密に組み立てる「設計思考」こそが、人間の役割(デザイン)として残る重要な領域です。AIを使いこなすこと以上に、この設計部分を磨くことが、これからのクリエイターや副業実践家には求められます。
5. 理想的なAI活用の提案:補助としてのAI
では、私たちはどのようにAIと向き合うべきでしょうか。私は、AIを「実物の代替」ではなく「表現の補助」として使うべきだと提案します。
有効な用途:AIを活用すべき領域
- 背景の作成:実物の商品を際立たせるための背景画像をつくらせる。
- イメージカット:コンセプトや世界観を伝えるための抽象的な装飾。
- ラフ案・構成案:制作前のアイデア出しや構図の検討。
危険な用途:AIに置き換えてはいけない領域
- 商品そのもの:実際に届く商品の形状、色、質感。
- 実際の店舗・風景:顧客が実際に目にする空間。
- 実際の料理:提供されるメニューの実態。
6. 結論:技術の進化以上に重要なもの
デザインの仕事についてもうすぐ1年。
ここ最近のAIの劇的な進化で、誰でも簡単に生成AIが使えるようになりましたが、利用者のデザイン知識や倫理観が一層問われます。
消費者が安心して判断し、納得して選択できる環境を守ること。
そのためには、私たち利用者側が「何をAIで作り、何を本物として見せるのか」という倫理的な基準を自らの中に持つ必要があります。
私自身、バーチャルショップirokazari+では、作品の展示画像はすべて実物を撮影したものを使っています。
AIはあくまで背景や装飾の補助として使い、作品そのものの姿はそのまま見せる。それが、バーチャルという空間でリアルな信頼を届けるための、私なりの一線です。
技術がどれだけ進化しても、「本物を見せる誠実さ」だけは、AIに代替させてはいけないと思っています。
著者プロフィール

pekopoko(バーチャルハンドメイドショップirokazari+店長)
元アクセサリー雑貨店の店長で、現在は飲食業界の広報・デザインの見習いバイトとして勤務
【スキル】
・ハンドメイド作家
・カラーセラピスト/パーソナルカラーリスト
・リテールマーケティング2級
・プログラミングスクール卒業
実店舗時代には、お店の見栄えを競うディスプレイコンテストで大賞・優秀賞・全国特別賞など3期連続で入賞。
現在は、それらの知識を結集し、メタバース「VketCloud」でバーチャルハンドメイドショップ『irokazari+』を運営。リアルとバーチャルの両視点から、”見せ方”と”心を整える色の力”をテーマに発信中。

